今回は気・血(けつ)・津液(しんえき)についてのお話をします。

これらは東洋医学において、人体の生理機能に非常に関わる物質であり、治療を理解する上でも大切な概念です。

「血」は文字通りほとんどの方がイメージできると思いますが、血液に近いものです(近いというのは後で説明しますが、現代医学的な血液の概念と違う生理作用もあります)。
それでは「気」や「津液」とは何でしょうか?
これからそれぞれについてご説明します。

気について

東洋医学における「気」って何でしょうか?
私が以前抱いていたイメージとしては、自分が小学生の頃、漫画のドラゴンボールが大人気でしたが、登場人物が「気」という言葉をよく使っていましたので、その印象が強いです(パワーとかそのキャラの強さのバロメーターみたいな感じですかね)。
「オラにみんなの気を集めてくれ!」っていう元気玉も懐かしいですね。元気玉は人だけではなく自然界の気も集めていましたので、あれは天人合一思想に通じます(よね?)。
しかし、毎週アニメを見てましたが、悟空が元気玉の気を集めるだけで何週も放送されていて全然話が進みませんでした。。

話がそれました、すみません。
「気」をとりなおしていきましょう!
「気」が何ですかと言われても中々説明できないかもしれませんが、皆さんは日ごろからこの「気」という言葉はよく使われていると思います。

例えば「今日は元気ないね?」「なんかやる気がでない。。。」「あの人はよく気が利く人ね」など会話で使いますよね。その他にも、気が短い、気弱、気力、気分、気に入る、根気、気持ち、気疲れ、そして病気など様々な言葉が日本語に用いられています。

では、東洋医学では「気」をどういう概念で捉えているのしょうか。

気とは

人体を構成、維持し、生命活動に必要不可欠である物質であり、また昇降出入といった運動性を持つ機能的な側面をもつもの

と考えられています。
これだけではピンとこないですね。
まず、物質としては、気は消耗したり、補充することができると考えられます。
機能としては、気は活動性や運動性を持つものであり、昇り降りといた上下方向の動きと、発散や収納といった出入方向の動きがあると考えられています(昇降出入)。

つまり、気は物質でありながら運動性があるものと考えられます。

気の生理作用

気は栄養、推動、温煦(おんく)、防御、固摂、気化の6つの作用があります。それぞれ以下のような働きを持っています。

栄養作用・・・人体の各部を栄養する
推動作用・・・臓腑の活動や、血や津液を推進する
温煦作用・・・体温の維持や臓器組織を温める
防御作用・・・体表を保護し、外から入る邪の侵入を防ぐとともに、侵入した邪と戦う
固摂作用・・・人体の構成物質(気血津液など)が体外に流出しないようにする
気化作用・・・物質を相互に変化させる(津液を汗や尿に変えるなど)

気の種類

気にはたくさんの種類がありますが、人体を構成する基本的物質としての気として「宗気」「営気」「衛気」「元気(原気または真気)」とがあります。

①宗気 
宗気は気の生理作用において、推動作用と特に関係が深い気となります。宗気は生成された後、胸の部分に集まってきますので、胸部にある臓器の働きと関係します。ですので、心拍運動や呼吸運動、発声などに関与します。

②営気
営気は気の生理作用において、栄養作用と特に関係が深い気となります。全身を循環して栄養を補給します。また、営気は血液の成分でもあり、津液とともに血に変化します。

③衛気(えき)
衛気は気の生理作用において、特に防御作用温煦作用に関係が深い気となります。衛気の作用は体表と体内とに分かれます。具体的には体表では皮膚を保護して、外邪の侵入を防ぎ、汗腺の開閉にも関与して発散や体温調節、また、皮毛(皮膚および体毛)を潤します。体内では臓腑を温める事で、活動を促進します。

④元気(原気または真気)
元気は生命活動の基本となる気です。人体の成長発育を促進したり、臓腑や全ての組織器官の活動を促進します。

気の生成

以上のように気とはどういうものかを説明してきました。では、気はどうやって作られるのでしょうか。

気を生成する原料となるものは、「水穀の精微(せいび)」「清気」「先天の精気」になります。
気を生成する成分は、生まれてから後天的に得られる物質と親から受け継いだ先天的な物質があります。
水穀の精微と清気が後天的な物質になり、先天の精気が先天的な物質になります。

○水穀の精微
水穀とは飲食物の事を表します。水穀は消化される中で身体に必要な精微という物質とそれ以外の無駄なもの(糟粕(そうはく))とに分別し、精微が気の生成に使われます(血や津液にもなります)。

○清気
清気は肺から吸入する大気中の有益な物質の事で、現代においては酸素に相当するものと考えられます。

○先天の精気
先天の精気は両親から受け継いだ気の事で、生殖や発育に関わります。先天の精気は腎に貯蔵されますので、腎中の精気とも呼ばれます。

上述した3つの物質を元に気を生成しますが、清気と水穀の精微によって宗気が、水穀の精微が脾の働き(脾は消化吸収に関与します)によって営気が生成されます。また、衛気は先天の精気を元に、水穀の精微に滋潤を受けて生成されます。最後に元気は先天の精気から生成され水穀の精微によっても後天的に養われます

こうして見ると、水穀の精微は気の生成にどれも関係しているのが分かります。
気が充実しているかどうかが健康に深く影響するという東洋医学の考えからすると、食生活がいかに大切かが分かります。

ただし、単純に食べる量を増やせばよいかと言えばそうではありません。食べても消化機能が弱っている状況であれば、当然水穀の精微を気に変える力も弱まり気が不足します。
また、気が十分であっても、どこかで滞りがある状況であれば、身体に不調をきたします。
東洋医学では、気が足りなくなって、正常な生理活動ができない状態によって病気が発生する状態を「気虚(ききょ)」と呼び、局所で気が停滞することによって病気が発生することを「気滞(きたい)」と呼んでいます(気虚や気滞はその人の体質として表現することもあります)。

気が原因となる体の不調をどう整えるのか?
そこで私たち鍼灸師の出番です。

東洋医学では気虚の方には気を補う治療を、気滞の方には気を巡らせる治療を行います。
また、悪い気(邪気)が身体に入ると人は病気になると考えられていますので、その場合は邪気を取り除く治療を行うというのが、基本的な考え方です。

そういう意味では、鍼灸師は「気」を扱うのが仕事とも言えます。

鍼灸院に来られる方は程度は違えど、病気の方々です。文字通り「気」が病んでいる方ですね。
患者さんの気を読み、相手の立場や気持ちに寄り添い、気を合わせる事。
そこが治療を始める上で大切であると私は師匠から学びました。
治療技術と同等以上に大切な事でもあると思います。
常に意識をして、臨床に立ち続けることで身に付くことなのかなと感じます。

まだまだ話がズレていきそうな所なので、今日はこのあたりで。
「気」だけでずいぶん内容が多くなってしまいました。
気合の入りすぎです(笑)

それでは「血」と「津液」に関しては次回にまたお話したいと思います。