日曜診療 10/20

婦人科疾患

当院で治療する主な婦人科疾患

月経の異常

月経周期とは、月経開始日から数えて、次回月経開始日前日までの日数をいいます。成人女性の場合、正常月経範囲は25~38日、変動は6日以内で、持続日数は3~7日間です。
月経の異常には、希発月経、頻発月経、過多月経・過長月経、過小月経・過短月経とに大きく分類されます。
〈月経周期異常〉
○希発月経・・・月経周期が延長し、39日から3か月以内に発来した月経。希発月経から続発性無月経(これまであった月経が3か月以上停止した状態)に移行することもある。
○頻発月経・・・月経周期が短縮し、24日以内で発来し、月経回数が増加する状態。ホルモン分泌の機能障害が原因と考えられる。排卵を伴う頻発月経には卵胞期が短いものと黄体期が短いものがあり、黄体期が短い場合は黄体機能不全が疑われる。
〈月経量・月経持続日数異常〉
○過多月経・過長月経・・・過多月経は一回の月経量が以上に多い状態で、140g以上のものをいう。目安としては1時間に一回はナプキン交換をしなければならない状態であったり、塊のような経血が出る状態。過長月経は過多月経を伴うことが多く、月経持続日数が8日以上続く。器質性の問題(子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮体がん、血液疾患など)の可能性もあり。
○過小月経・過短月経・・・過小月経は月経による出血量が20g以下のものをいう。目安としては月経量が血性のおりもの程度の状態。過短月経は過小月経を伴うこと多く、月経持続日数が2日以内である。子宮内膜癒着や子宮内膜炎など器質的な問題がある可能性の他、若年者では子宮発育不全の可能性もあり。
これらの症状に関しては、それぞれ排卵性か無排卵性かを確認する必要があります。排卵の有無は基礎体温で確認し、無排卵の場合であると低温一層性(排卵日の前後で基礎体温の差が0.3℃未満)になります。
月経はあるが排卵を伴わないものを無排卵周期症といいます。原因としては様々ですが、過度のストレスや急激な体重減少、高プロラクチン血症などの視床下部障害により、ホルモンが正常に分泌されず排卵障害を引き起こすことが一因として挙げられます。

無月経

無月経は生理的無月経と病的無月経に分類されます。さらに病的無月経は原発性無月経と続発性無月経に分類されます。
生理的無月経
初経以前、閉経以降、妊娠中、産褥期、授乳期に起こる無月経
病的無月経
原発性無月経・・・満18歳になっても初経が来ない状態
続発性無月経・・・これまであった月経が3か月以上停止した状態

黄体機能不全

排卵後に形成される黄体からのエストロゲンとプロゲステロンの分泌不全により、分泌期の子宮内膜への変化が十分に起こらない状態のことをいいます。
原因としては視床下部や下垂体から分泌されるホルモン(GnRH、FSH,LH)の異常、卵巣の異常、子宮内膜の異常、その他にも高プロラクチン血症、甲状腺機能低下症、体外受精、ストレスや運動不足なども考えられます。
黄体機能不全では、子宮内膜の早期剥脱により頻発月経を引き起こしたり、不正出血もみられます。また、着床障害による不妊症の原因や不育症(習慣流産、反復流産)の原因にもなるとされています。

※基礎体温について

女性がご自身の身体を理解するうえで非常に役に立つのが基礎体温です。基礎体温とは食事、運動、精神的なストレス(緊張)など体温を変動される条件のない時に測る体温のことをいいます。そのためには、朝目が覚めたら寝た状態のまま測定する必要があります。基礎体温の変動は低温期と高温期に分かれます。月経が始まると低温期が続き、排卵後は高温期となり、また月経を迎えると再び低温期に入ります。

基礎体温から分かること
○排卵日・・・低温期の最終日
○排卵の有無・・・低温期と高温期が二相性(体温の変動が0.3℃以上)であれば排卵があると推測される
○月経開始の予想・・・黄体機能不全がなければ排卵後の約14日後が生理日と推測される
○妊娠の可能性・・・高温期が16日以上続く場合は妊娠の可能性がある
○PMS(月経前症候群)の時期・・・PMSは高温期に起こる症状であるので時期が推測される
○黄体機能不全・・・高温期が10日未満、高温期と低温期の差が0.3℃未満、高温期で基礎体温の変動が激しい場合は黄体機能不全が疑われる
○排卵障害・・・月経周期が35日以上と長く、低温期が2週間以上続く場合や低温期のみの一層性の場合排卵障害が疑われる

月経困難症

月経に伴って起こる病的症状の事をいい、機能性月経困難症と器質性月経困難症に分けられます。

機能性月経困難症
初経から2~3年より始まり、排卵性月経に伴い症状が出る。月経1~2日目に症状が強く出る。
器質性月経困難症
基礎疾患(子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、腹腔内癒着など)が原因となって引き起こす。30歳代以降に多くみられ、月経前4~5日から月経後まで症状が持続する。無排卵性月経でも起こりうる。

主な症状
身体的症状
下腹部痛、腰痛の頻度が高い。他にも腹部膨満感、吐き気、頭痛、下痢、疲労感、脱力感、食欲不振など

精神的症状
抑うつ状態、イライラ

PMS(月経前症候群)

黄体期の後半(月経前7~10日)から繰り返し出現する心身の不快な症状で、日常生活に支障をきたすほどの重症なものをいいます。

主な症状
身体的症状
手足のむくみや頭痛、腹部膨満感、乳房痛、腰痛、便秘、めまい、ほてりなど
精神的症状
うつ状態や抑制しがたい怒りの感情、イライラ、不安感、引きこもり、物忘れ、混乱、涙もろいなど

更年期障害

女性は40歳を過ぎると卵巣機能が低下し始めますが、更年期(45~55歳頃)に訪れます閉経前後の数年間、卵巣ホルモン(エストロゲン)の減少により自律神経が影響を受け、さまざまな不定愁訴(不快な症状)が生じます。これを更年期障害といいます。更年期にある女性の6~8割に何らかの症状が現れるといわれています。

主な症状
身体的症状
ホットフラッシュ(顔面紅潮、のぼせ)、冷感、発汗、動悸、頻脈、頭痛、疲労感、肩こり、腰痛、関節痛、手足のしびれ、便秘、下痢、腹痛、悪心・嘔吐、頻尿、排尿痛、残尿感、疲労感など
精神的症状
精神不安定、イライラ、抑うつ、かんしゃく、気力減退、不眠、記憶障害など